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「その情報量は Twitter のなんと10倍... つまり人類はすべて平等に無価値ということだ」

電気で生きる細菌のこと

電気で生きる微生物を初めて特定 | 理化学研究所

海底に生息する生物の一部は光と化学物質に代わる第3のエネルギーとして電気を利用して生きているのではないかという仮説を立て、本研究を実施しました。

いわば「光合成」「化学合成」につづいて「電気合成」とでも言うべき反応を発見したぞ、という話。ではこの3つはそもそも何なのか、について解説したい。

よくSFで「あの星には生命反応があるぞ」というセリフがある。たぶん生命体のみが発する固有のオーラみたいなのを観測してるんだろうけれど、残念ながら現代科学はそういう意味での「生命反応」は存在しない。生物も無生物も単なる物質のカタマリで、その並び方が違うだけだと考えられている。

しかし強いて解釈すると、あれは「有機物を検出した」という意味だと思われる。有機物は炭素を骨格にした物質という意味で、生物は頻繁にこの有機物を合成しているが、無生物から有機物が生み出されることはほとんどない*1。なので、星が有機物で満ちていたら「生命がいるっぽい」と見当をつけることが出来る。

有機物は主に炭素でできているので、燃やすと熱エネルギーを発してCO2になる。では逆に、CO2とエネルギーから有機物を合成することは出来るだろうか?

ご存知のとおり、人類はそういうことは出来ない。人は、すでに有機物になったご飯や野菜や肉を消化して取り込むことしかしない。このように他の生物の生み出した有機物を食べるものを従属栄養生物という。

もちろん消費者だけでは経済が成り立たないので、なかにはCO2とエネルギーから有機物を合成する独立栄養生物がいる。代表格はもちろん植物であり、彼らは光のエネルギーによってCO2から有機物を合成している。

一方、深海のような光がまったく届かない場所では、べつのエネルギーから有機物を合成する生物がいる。それが化学合成細菌である。硫化水素 H2S を硫黄 S に酸化してエネルギーを得る硫黄細菌や、鉄イオン Fe2+ を Fe3+ に酸化する鉄細菌などが有名だ。あまり我々の生活に縁はないが、原始の生命は深海で生まれたと考えられているので、彼らの存在がなければ今の我々の隆盛は無かっただろう。先人に感謝しよう。

今回発見されたのは鉄細菌の一種 A.ferrooxidans が電気を通しやすい岩石の近くで暮らしていたので「もしかして鉄がなくても電気エネルギーを直接吸ってるんじゃね?」と試してみたら実際そうだった、という話のようだ。電気をメインで利用してるという意味ではないようだが。

こうなると次は核エネルギーを利用する細菌が欲しいが、今のところニセ科学界隈でしか見つかっていない。オクロの天然原子炉を探せば見つかるかもしれない。

*1:もちろん皆無ではない。1828年にヴェーラーがはじめて無機物から有機物を合成できることを発見し、有機物こそが生命の源とする考え方が覆された。