四国が500km南に移動すると歴史はどう変わるか(ただの妄想)
もし日本列島が最初からこんな形だったら、どういう歴史が営まれていただろうかを考えてみる。
まず、こんな遠い四国に人が住んでるのか、と言われれば、太平洋諸島の隅々まで人が住んでるわけだから当然住んでいるだろう。では、その人種はどういう構成か。
日本人のルーツとは、氷河期にわたってきた縄文人と、2000年くらい前に来た弥生人が適当に混ざり合って出来たものだと大雑把に説明されている。ただしこの混合が十分でないため、南九州や東北ではより縄文系の遺伝子が強く残ってるらしい。となれば、四国人はおそらく南九州から渡来してくるだろうから、弥生系とほとんど混血せずに縄文系の強い遺伝子が残っていることだろう。彫りの深い顔は「四国顔」と言われるに違いない。
こうも遠ければ、沖縄や北海道と同様に、おそらく明治になるまで朝廷や幕府の支配下に入ることは無い。それどころか、四国内で統一国家ができるかどうかさえ危うい。琉球でさえ15世紀にようやく尚巴志に統一されたし、ハワイが統一されたのはヨーロッパ人の到来後である。
琉球のように中継貿易で栄えるには位置的に難しそうだ。一方で面積があるので、農業で自足していくだろう。気候的には熱帯に近いだろうから「高松バナナ」とか「松本松山マンゴー」とか名産になってると思う。
むしろ、明治にきちんと日本に組み込まれるのかが不安になる。大航海時代にやってきたヨーロッパ人によりあっさり植民地化されて、現代ではグアムのようにアメリカ合衆国シコク準州なっている懸念もある。
一方で、影響を受けるのは四国だけではない。四国は世界で48番目に大きな島であり、台湾の半分ほどある。これだけの領土が日本列島から分離すれば、その日本史への、あるいは世界史への影響も相当なものがあるはずだ。
ジャレド・ダイヤモンド「銃・病原菌・鉄」によると、大航海時代を経て世界の覇権を制したヨーロッパと植民地化される中国の明暗は「地形」で説明できるという。いわく、ヨーロッパは半島や離島が多く統一国家が長く存在しなかったため、多数の国家が争い、一方のアジアは少数の勢力に統一されていた。この競争の有無が、最終的な世界の覇権を分けたのだという。
ここで四国が遠く離れた独立勢力として存在していれば、大航海時代のヨーロッパに近い競争状態をつくり、東アジアが先に世界を席巻していたかもしれない。そうなれば今ごろ、アメリカ西海岸には漢字の看板がひしめくブレードランナー的、あるいはベイマックス的世界になっていたに違いない。四国、ちょっと近すぎたかも。
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