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「その情報量は Twitter のなんと10倍... つまり人類はすべて平等に無価値ということだ」

時速60キロで車が離れていく

◆人間はみんな巨大ロボに乗り込んで操縦したいという願望を持っている。「私はそんな事を思っていない」という人はまだ内なる声を自覚していないだけである。一度インターネットを切断し、素直な気持ちで本当の自分と向き合ってみてほしい。

◆とはいえこの不景気日本で巨大ロボを所有し操るのは少々難しい。ある程度の妥協はやむを得ない。巨大ロボに必要な要件がなにかと言えば、過去のロボットアニメを総合すると「飛ぶこと」「戦うこと」「人型であること」は必須ではなさそうだから省く。あとは当然ながら「巨大であること」という点があるが、日本語における巨大とはどの程度のサイズを指すのか。

◆『進撃の巨人』には確か3メートル級巨人というのがいた。単行本9巻で、まだ意識のある人間をそれより一回り大きいだけの巨人がクッチャクッチャと食っているシーンは超大型巨人よりも恐怖感があった。それはともかく、つまり日本の漫画・アニメファンには3メートルが巨大であるというコンセンサスが得られている事になる。これによって大抵の自動車は巨大ロボであるという結論が得られた。

◆2年前に小型二輪(125ccのバイク)を買ったのだが今は四輪車がほしい。高速道路に乗れない事にイライラしはじめた。人間の欲望は果てしない。小型二輪は自動車税が年額2400円であるが、自動車(軽ではない)は3万円するらしい。駐車場代その他の経費も小型二輪よりずっと高い。そんなものを所有してしまったら真面目に働かなくてはいけない。働きたくない。

◆「巨大ロボを操縦したい」と「働きたくない」は人間の二大欲求と言っても反論はそう多くあるまい。しかし現代社会において巨大ロボたる自動車の所有には、労働によって発生する金銭が必要となる。つまり二大欲求は相反する。なんてことだ。人間はその根本的欲求において既に矛盾を抱えているのか。

◆と思ったけど「トイレ行きたいけど布団出たくない」とかいう事もあるし、我々の欲求はわりとカジュアルに衝突する。 

◆ここで視点を変えてみよう。トイレに行きたいという人間の本当の望みは排泄であり、それは必ずしも施設としてのトイレを必要とするものではない。つまり布団のなかにそれなりの道具を用意すれば済む話である。同様に、巨大ロボに必要なのは労働ではなく金銭であるのだから、働かずに金が入ってくればそれで事足りるではないか。人類の抱える致命的な矛盾と思われていた事に、いま突破口が見えた。

◆だらだら書いたが本題に戻る。本題はなんだっけ。そうだ、4冊目の小説が出るという話をしていたんだった。していないか。今した。

未来職安

未来職安

 

◆少々まじめに内容を紹介する。

◆数年前に「東京都交通安全責任課」という短編小説を書いた。これは「未来の東京都庁で、自動運転車の事故が起きたときに、責任をとって辞めるためだけの人員を雇っている」という、いわゆる不条理お役所小説である。人間の労働が機械に代替されても、責任をとることは人間にしかできないだろう、というアイデアに基づいている。

◆「未来職安」はこのアイデアを拡張したもので、機械が発達した社会で、それでも人間にしかできない仕事を見つけ出してそれを紹介する「職安」の物語です。よろしく。