1400字制限

最近の記事のほとんどが1400字を超えているのでタイトル無視も甚だしいが1400字「以下」に制限するとは言っていない

平等の不満、不平等の不満

皆さんは現代社会にどんな不満があるだろうか。僕の不満を3つ挙げると、

  • 仕事したくない
  • 死ぬのが嫌
  • 地球外生命体がいまだ発見されていない

である。

これを言うとブーイングが来る。「そんなのみんな一緒だろ」と。たいていの人間は働かねばならないし、全ての人間は必ず死ぬ。地球外生命体については個人の問題ですら無い。しかし僕はこれが個人的に不満なのだから仕方がない。

考えてみると僕は「不平等に基づく不満」というものをあまり持たない。子供のころ家にあったゲーム機は2世代前のものだったが、クラスメイトの持っている新型が欲しいとは思わなかった。キリスト教家庭なのにクリスマスプレゼントが無かったが、教会に行くとケーキが食べられたので満足だった(子供は2個もらえるのだ。2個ケーキが食べられる状況が他にあるか?)。

むしろ僕の不満はもっぱら平等に基づくものだった。「みんなが出来ることをなんで君はできないのか」とか、「みんなが時間かかってるんだから待ってあげなさい」とか、そういうことを言う教師やら生徒がいるのが不満だった。学校制服などはその集大成といえる。

別に「僕はみんなと違う」と思っていたわけではない。みんなはみんなと違う。金子みすゞもそう言ってるし、国語の教科書にも書いてある。しかし授業で教科書を読んだ教師も他の生徒もなぜか全く実践しない。困ったものだ。

 

そうこう言っているうちに大人になった。まず研究職、そのあと小説家になった。どちらも他人と違ってナンボの職業だ。学校式の平等主義からはだいぶ距離ができた。

一方、一億総中流社会とか言われていた国で、いつのまにか経済格差が問題になりはじめた。「格差」が問題になる理由が僕にはよくわからなかった。貧困が問題なのは分かる。しかし一部の富裕層の存在がなぜ悪いのだろう。僕は自分の懐以外に興味はないのだが。

行動経済学の観点から人間は不平等を嫌悪するようにできています」と言われても、僕はとくに嫌悪してないし、そもそも人間の不平等を嫌悪するのならアメリカの富裕層とサハラ以南の最貧国の格差がもっとも嫌悪すべきものであって、日本国内の格差など些末な問題であるように思う。

富裕層からは累進課税できちんと税金を取るべきであるし、タックスヘイブンにもできるだけ対策をするべきだ。しかしそれは「金持ちは貧困層を搾取しているから懲罰しろ」という意味ではない。「勤勉ではなく環境や幸運に基づくものだから埋め合わせをしろ」とも思わない。税金は必要なので沢山持ってるやつから取っとけ、とだけ思っている。富裕層に対する感情は特に無い。

国益のために税制や最低賃金法はきちんとするべきだが、「格差の存在」自体にそこまで大きな感情が渦巻くものなのだろうか。勿論それを共感したいわけではなく、例によって「みんなはみんなと違うな」と思っているだけである。

 

さて、世界一の富豪である amazon.com創始者ジェフ・ベゾスはこのところ、倉庫の無人化を進めているらしい。アマゾン倉庫の過酷な労働が問題視されていた気がするが、ロボット化するとそれはそれで問題視されるらしい。他人の感情はよくわからない。

僕は別にジェフ・ベゾスが世界の富の半分を所有していても構わない。人間のやるべき仕事を全て Amazon 所有のロボットがこなし僕が働かなくて済むなら大助かりだ。できれば Blue Origin でロケットを飛ばしまくって地球外生命体を見つけて Amazo Prime Video で放送して欲しい。そう考えると僕の不満はむしろ人間の不平等によって解決するかもしれない。とはいえまだ当分かかりそうなので、やはり一番の問題は、人間がいずれ死ぬことだ。