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香港のデモが盛り上がっているので映画「1987、ある闘いの真実」を見た

香港のデモが盛り上がっているので映画「1987 ある闘いの真実」を見た。韓国の民主化運動にまつわる話。

1987、ある闘いの真実 (字幕版)
 

ソウル大の学生が不審死をして、調べていくとそれが国家による拷問致死であり、それがきっかけに民主化運動が起き、憲法が改正され大統領が直接選挙制に移行する、という話である。拷問をしているのは北朝鮮のスパイを摘発する対共で、改憲派金日成の手先に仕立てて直接選挙を阻止しようとする。登場人物も学生運動のリーダーを含めてほぼ実在。

日本人は韓国の現代史というものをどのくらい知ってるだろうか。僕が学校で習ったのは「終戦とともに日本から解放されるが分断国家となって1950年に朝鮮戦争が勃発、1953年に停戦するが現在でも緊張状態が続いている」というものであり、その後韓国がどういう道を歩んだのか、といったことは教わった記憶がない。戦後史というのは東西冷戦と関係ない部分はほとんど無視されていた気がする。

たぶん大抵の日本人は北朝鮮の歴史のほうが詳しい。朝鮮労働党一党独裁による社会主義体制で、最高指導者は金日成金正日金正恩。シンプルで覚えやすい。となると韓国のほうはずっと自由主義・民主主義でやっていたんだろう、と僕もわりと最近まで思っていた。

しかし実態はそうでもないらしく、作中時点での韓国は形式的な間接選挙による権威主義体制となっている。新聞社には国からの「報道指針」が出されていて言論の自由もない。公共施設の壁には大統領の肖像写真が掲げられていて何やら北朝鮮じみている。

とはいえ文化的には昭和末期の日本にかなり似ている。新聞もまだ漢字が多いので結構読めるし、なにやら見ているうちに「あり得た日本を描いたパラレルワールド」みたいな気にさえなってくる。

よく日本と東アジア諸国との間で民主主義に対する意識の違いが話題になるが、こうも最近に民主主義を勝ち取った歴史があるのであれば当然のことである。なにしろ作中で独裁者として登場する大統領・全斗煥はいまも存命である。

ところで本作中ではキリスト教会や神父がかなり重要な役割を担っている。韓国はキリスト教徒が3割で仏教徒よりも多いのだが、政治への影響力もそれなりのものなんだろうか。