1400字制限

最近の記事のほとんどが1400字を超えているのでタイトル無視も甚だしいが1400字「以下」に制限するとは言っていない

香港のデモが盛り上がっているので映画「1987、ある闘いの真実」を見た

香港のデモが盛り上がっているので映画「1987 ある闘いの真実」を見た。韓国の民主化運動にまつわる話。

1987、ある闘いの真実 (字幕版)
 

ソウル大の学生が不審死をして、調べていくとそれが国家による拷問致死であり、それがきっかけに民主化運動が起き、憲法が改正され大統領が直接選挙制に移行する、という話である。拷問をしているのは北朝鮮のスパイを摘発する対共で、改憲派金日成の手先に仕立てて直接選挙を阻止しようとする。登場人物も学生運動のリーダーを含めてほぼ実在。

日本人は韓国の現代史というものをどのくらい知ってるだろうか。僕が学校で習ったのは「終戦とともに日本から解放されるが分断国家となって1950年に朝鮮戦争が勃発、1953年に停戦するが現在でも緊張状態が続いている」というものであり、その後韓国がどういう道を歩んだのか、といったことは教わった記憶がない。戦後史というのは東西冷戦と関係ない部分はほとんど無視されていた気がする。

たぶん大抵の日本人は北朝鮮の歴史のほうが詳しい。朝鮮労働党一党独裁による社会主義体制で、最高指導者は金日成金正日金正恩。シンプルで覚えやすい。となると韓国のほうはずっと自由主義・民主主義でやっていたんだろう、と僕もわりと最近まで思っていた。

しかし実態はそうでもないらしく、作中時点での韓国は形式的な間接選挙による権威主義体制となっている。新聞社には国からの「報道指針」が出されていて言論の自由もない。公共施設の壁には大統領の肖像写真が掲げられていて何やら北朝鮮じみている。

とはいえ文化的には昭和末期の日本にかなり似ている。新聞もまだ漢字が多いので結構読めるし、なにやら見ているうちに「あり得た日本を描いたパラレルワールド」みたいな気にさえなってくる。

よく日本と東アジア諸国との間で民主主義に対する意識の違いが話題になるが、こうも最近に民主主義を勝ち取った歴史があるのであれば当然のことである。なにしろ作中で独裁者として登場する大統領・全斗煥はいまも存命である。

ところで本作中ではキリスト教会や神父がかなり重要な役割を担っている。韓国はキリスト教徒が3割で仏教徒よりも多いのだが、政治への影響力もそれなりのものなんだろうか。

平等の不満、不平等の不満

皆さんは現代社会にどんな不満があるだろうか。僕の不満を3つ挙げると、

  • 仕事したくない
  • 死ぬのが嫌
  • 地球外生命体がいまだ発見されていない

である。

これを言うとブーイングが来る。「そんなのみんな一緒だろ」と。たいていの人間は働かねばならないし、全ての人間は必ず死ぬ。地球外生命体については個人の問題ですら無い。しかし僕はこれが個人的に不満なのだから仕方がない。

考えてみると僕は「不平等に基づく不満」というものをあまり持たない。子供のころ家にあったゲーム機は2世代前のものだったが、クラスメイトの持っている新型が欲しいとは思わなかった。キリスト教家庭なのにクリスマスプレゼントが無かったが、教会に行くとケーキが食べられたので満足だった(子供は2個もらえるのだ。2個ケーキが食べられる状況が他にあるか?)。

むしろ僕の不満はもっぱら平等に基づくものだった。「みんなが出来ることをなんで君はできないのか」とか、「みんなが時間かかってるんだから待ってあげなさい」とか、そういうことを言う教師やら生徒がいるのが不満だった。学校制服などはその集大成といえる。

別に「僕はみんなと違う」と思っていたわけではない。みんなはみんなと違う。金子みすゞもそう言ってるし、国語の教科書にも書いてある。しかし授業で教科書を読んだ教師も他の生徒もなぜか全く実践しない。困ったものだ。

 

そうこう言っているうちに大人になった。まず研究職、そのあと小説家になった。どちらも他人と違ってナンボの職業だ。学校式の平等主義からはだいぶ距離ができた。

一方、一億総中流社会とか言われていた国で、いつのまにか経済格差が問題になりはじめた。「格差」が問題になる理由が僕にはよくわからなかった。貧困が問題なのは分かる。しかし一部の富裕層の存在がなぜ悪いのだろう。僕は自分の懐以外に興味はないのだが。

行動経済学の観点から人間は不平等を嫌悪するようにできています」と言われても、僕はとくに嫌悪してないし、そもそも人間の不平等を嫌悪するのならアメリカの富裕層とサハラ以南の最貧国の格差がもっとも嫌悪すべきものであって、日本国内の格差など些末な問題であるように思う。

富裕層からは累進課税できちんと税金を取るべきであるし、タックスヘイブンにもできるだけ対策をするべきだ。しかしそれは「金持ちは貧困層を搾取しているから懲罰しろ」という意味ではない。「勤勉ではなく環境や幸運に基づくものだから埋め合わせをしろ」とも思わない。税金は必要なので沢山持ってるやつから取っとけ、とだけ思っている。富裕層に対する感情は特に無い。

国益のために税制や最低賃金法はきちんとするべきだが、「格差の存在」自体にそこまで大きな感情が渦巻くものなのだろうか。勿論それを共感したいわけではなく、例によって「みんなはみんなと違うな」と思っているだけである。

 

さて、世界一の富豪である amazon.com創始者ジェフ・ベゾスはこのところ、倉庫の無人化を進めているらしい。アマゾン倉庫の過酷な労働が問題視されていた気がするが、ロボット化するとそれはそれで問題視されるらしい。他人の感情はよくわからない。

僕は別にジェフ・ベゾスが世界の富の半分を所有していても構わない。人間のやるべき仕事を全て Amazon 所有のロボットがこなし僕が働かなくて済むなら大助かりだ。できれば Blue Origin でロケットを飛ばしまくって地球外生命体を見つけて Amazo Prime Video で放送して欲しい。そう考えると僕の不満はむしろ人間の不平等によって解決するかもしれない。とはいえまだ当分かかりそうなので、やはり一番の問題は、人間がいずれ死ぬことだ。

 

ガルパンを見たぞ

Amazon Prime でアニメ「ガールズ&パンツァー」が配信されていたので、何かと話題になる劇場版を見てみることにした。

【視聴前の知識】
・TV版は見てない
・女子高生が戦車で戦うらしい
・聖地は茨城の大洗
・敵は文科省(強い共感)


【見た人のスペック】
・戦車知識は皆無
・人間識別が苦手なのでキャラが多いと困る
・地理にはわりと明るい

【視聴時の流れ】
いきなり戦車で撃ち合っている。エキシビションマッチらしい
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うおお、登場人物がかなり多いぞ
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たぶんTV版で徐々に登場したキャラがここで一堂に会しているんだろう、初見だときつい
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キャラを覚えるのは諦めて、とりあえず学校名だけ認識しよう
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この戦車が止まる時に若干つんのめる動きがその道のマニアを唸らせるのだろう、おれには分からないがハートは伝わるぞ(コトブキ飛行隊も似たようなことを思った)
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白旗があがったぞ、あれが出ると負けらしい。大破するわけじゃないのね
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砲撃しまくってるけど怪我を心配する様子もない、何かしら安全の仕組みがあるんだろう
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あからさまに見覚えのある赤旗、カチューシャという名前、耳覚えのあるロシア民謡、こいつらはソ連軍か
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やたら紅茶飲んでる、これはイギリスだな
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どうやら学校ごとにWW2の国を割り振ってるんだな、これは分かりやすくて良い
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突撃!突撃!と言ってるやつらは日本軍に違いない。なんかアホの子ばかりなので後半で作戦行動を始めて成長を見せると予想
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となると主人公のチームが日本軍というわけではないのか。ちょっと意外だが、まあ内容的に主人公は無国籍的なほうが無難か
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主人公の学校の戦車に動物の絵がついてるな、これで識別できるな
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カチューシャが「日本語で話しなさいよ!」と言ってる。基本的に登場人物は日本人なのか
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待て待て、戦車って階段降りれんの? 民家を破壊しまくってるけどいいのか?
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ちょっと視聴態度が難しいぞ。この手のアニメは見るときのリアリティ度をうまく調整しないと世界観に入り込めない
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店を壊された店主が喜んでるので、後でなにか特典があるのだろう
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ちょいちょい戦車視点になる映像は迫力があるな、劇場で見たい絵だ
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あ、主人公チームが負けた。イギリスとソ連が勝った
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で、風呂シーン。人間が多い
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こいつらいつも紅茶飲んでんな
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生徒会長が呼び出されたぞ。生徒会長なのに戦車道やってるのか。部活モノじゃないのか?
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廃校らしい。部活モノだと廃部が定番だが、廃校ときたか
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「優勝したら廃校しないという約束では?」「あくまで検討するだけ」という話をしている。なるほどTV版は優勝して廃校阻止エンドなんだな。しかしTV版のストーリーをこう無碍にしていいのか
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なんか戦車道やってる生徒に風紀委員とかバレー部とかいるけど、戦車道は部活ではないのか? 普通教育で学力ではなく戦車力の育成をする世界観なのかな。
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なんだこの巨大な船は
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「学園艦」ってなんだよ!
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戦車の免許があるのか。「とりあえず今のところ有効」こういうところで妙にボケてくるあたり視聴態度が難しいな、ミリタリーの徹底したリアリティを追求したというわけでもなさそうだ
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なんか古びたテーマパークが出てきた。包帯だらけのクマがいる。あえてボロくしてるのか客が少なくて寂れてるのか分からないな
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ヒーローショーが始まった
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なんか幼女がでてきた。描かれ方を見るに新キャラか。日本のアニメにおいて幼女に見えるキャラは主人公より年上という不文律があるので、この幼女は先輩的な何かだろう
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「戦車道に力を入れるという国の方針」があるらしい
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あ、廃校を阻止するめどがたったらしい。大学チームに勝てばいいんだな
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なるほどさっきの幼女は大学チームの隊長か。ほーら年上だった。あれ、「飛び級」と言ってるから年上とは限らんのか。まあいいや
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「西住流」「島田流」という言葉が出てきた。武道なんだから流派もあるよな。主人公は西住流の人らしい
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殲滅戦(敵を全部倒したら勝ち)をやるらしい。なのに戦車が8対30ってひどい条件だな
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お、さんふらわあ号だ。大洗から乗るなら行き先は苫小牧かな
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エキシビションで戦っていた他校生たちが集まってきて頭数がそろった
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「短期の転校手続き」をして大洗高校チームに参加するらしい。制服まで用意している。かつて戦った強敵たちが転校して共闘ってめっちゃ既視感があるぞ、男塾だ
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そうか、このアニメは男塾として見ればいいのか。そう考えると急にピントが合ってきたぞ。ここからは何を見ても脳内民明書房が解説してくれる
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どうやらこのドイツっぽい人は主人公の姉らしい。なんかさっき西住流がどうこう言ってたから、家元をめぐってのイザコザがあったに違いない。たぶんTV版では対立していた姉妹が戦って和解して感動のエンディングを迎えて、劇場版ではその姉妹が共闘する流れだな。TV版見てないけど脳内でデジャヴを生成して盛り上がるぞ。うおおお
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で、試合開始。まずは丘をとりにいくらしい。「キングダム」でよくやるけど戦車戦でもそうなんだな
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大学チームの戦車はM26パーシング?っていうらしい。寄せ集めチームでバラエティのある主人公側に比べると敵側は揃っている。さすがに劇場版初登場のチームに色んな戦車が出てきたら視聴者が混乱するだろうしな。
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あ、丘をとったやつらがやられた。なんだこの学園モノにあるまじき爆発。これでも怪我人とかは出ないのか
(どういう設定なんだろう、実は全部VRの中だとか?)
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戦車がジャンプしていいのか?男塾だからいいのか。
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戦場が遊園地に移ったぞ。なんか世界各地の名所のミニチュアみたいなのが並んでる。東武ワールドスクエアかな。隣の県だし
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「ロケットの音がしなかったから○○ではない」とか言っている。砲弾にロケットがあるとは知らんかった
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臼砲らしい。「あれは戦車なのか」で揉めてる。ずいぶん相手チームが卑怯だが男塾なので問題ない。
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おっ80年代に流行った巨大迷路。戦車ってこんな幅ギリギリの道でも曲がれるのか
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じつに都合のいい観覧車の回転!
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ミニチュアの富士山に登って戦っている。V2ロケットがある。これはたぶん後で発射されるな(チェーホフの法則)
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ほら発射した
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あれ、試合が終わったけどまだ35分くらいあるぞ
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普通にエンディングが流れた。なぜか飛行船や蒸気機関車が出てきたが今更何を見ても驚かないぞ
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残り30分は登場戦車の歴史的解説らしい(特典映像か何かかな?)。劇中のあのシーンはこういう背景があるのか。これはありがたい。でも戦車がジャンプして掘を越えたりはしないだろ
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「開発したけど戦争が終わったので活躍シーンがなくて残念」と言われると平和主義者の私としては「いや兵器なんて活躍しないほうがいいに決まってるだろ」と思う
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まあでもそういう「兵器の活躍を見たい」と「戦争で人が死ぬのは見たくない」というジレンマから生まれたのがこういうスポーツとしての戦車道なんだろうな、その心意気は伝わったぞ
(なんで砲撃を食らって死なないのかは分からなかったけど、まあいいや)



総評。なにかと前提知識が足りないので「あまり理解できないだろう」と思って見始めて、案の定いきなり色々な設定や人物が出てきてリアリティつまみを調整するのに苦労したけど、そのための冒頭30分のエキシビションだと思えばちゃんと初見者に配慮のある構成になってる。話の流れは平凡だがこの設定濃度で奇抜なストーリーを見せられたら脳が過負荷で死ぬのでこれでいいだろう。見せたいところに全振りしている感じがとても素敵だ。(この後もう2回ほど見てTV版も見た)

シン・何もしてないのにパソコンが壊れた

勢い余って日記を二連続投稿してしまったが、僕が書くべきものは日記ではなく仕事の原稿(小説および漫画原作)なのである。というわけで今回は「日記を書いている場合ではない」という日記を書く。森見登美彦の「美女と竹林」は登美彦氏が竹林に行って竹を刈るエッセイなのだが、そのエッセイの締切が近いせいで竹を刈りにいく暇がないという本末転倒に陥っておりあまりに馬鹿らしいのでぜひ読んで欲しい。僕の日記も大体そういうかんじであり、つまり僕は本末転倒ぶりにおいては森見登美彦と同レベルということになる。せっかくなら小説の売上も同レベルに達してみたいものである。しかしどれだけ有名作家との類似性を見いだしたところで原稿を書かないことには本が出ないし本は出なければ売れない。先物取引みたいにまだ出てない本が売れないものだろうか、と書こうと思ったけど先物取引がなんなのかを知らない(ナニワ金融道で教頭先生が破産した金融商品、というイメージしかない)。たしかにクラウドファンディング的にまず金を集めてから原稿執筆をはじめるというのは一つのビジネスとしてありうるが、そもそも「労働は非日常」と言ってのける人間がビジネスモデルを書いても仕方ないのである。まじめな話をすると、どうにか Android 上で長文を打てる体制は確立したものの問題があって、僕はふだん「オートマン」の原作原稿をPDFで編集部に送ってるのだが、このPDFは LaTeX で書いてるのである(理工系出身者にありがち)。あとの問題は説明する必要もないでしょうから省きますね。もちろん実際的なことを言えば草稿を Android で書いてあとで iMacLaTeX に整形すればなんも問題ないのだが、そもそも「家だと仕事ができない、外出先でないと」とか妙なことを言い出す人間が草稿作業と清書作業を分離するような器用なことができると思いますか貴方? 要するにこういう「仕事ができない言い訳」が無限に思いつくのでこうやって無限に日記が生産できてしまうわけだ。どうもおかしい。実家から石油がジャンジャン出る人間は石油を売って生計を立てるべきだし、温泉が出る人間は温泉を売るべきである。ならば言い訳が出る人間は言い訳を売るべきではないのか? しかしそこは経済学における需要と供給の法則というものがあり、言い訳なんてものは山ほど供給されるが誰も需要しないので価格は Zenkin 的にゼロになるとアダム・スミスというあまりに平凡な名前を持つ非凡な天才が言っている。「漸近」の漢字変換ができないけど大丈夫か ATOK。そういえば「オートマン」は登場人物の名前が変換しづらいと苦情を言われたことはないのだがおそらく関係者みんな思ってるだろうし僕自身でさえ思っているしこうやって新しい環境で原稿をしようと思ったらまず辞書登録から始めなければいけないので無限に出る言い訳がまたひとつ増える。しかし僕はペンネームを見ればわかるようにめんどくさい漢字が大好きなのでこれについては後悔はしていないのである。ぐだぐだ書いているうちに気がついたらキーボードに移った正露丸の臭い(※2つ前の日記参照)が指にまで移ってきた。なるほどこれが「キーボードが手になじむ」ということだな。というわけでそろそろ仕事を始めることにしよう。

続・何もしてないのにパソコンが壊れた

【前回までのあらすじ】MacBook が壊れたのでスマートフォンBluetooth キーボードで原稿を書くことにした……

さっそく問題が発生した。画面が小さいので資料を見ながら原稿を書くということができない。それどころか自分の書いた原稿も数百文字くらいしか見えない。これでは先ほど投稿したような何も考えない即興日記を書くことしかできない。それで仕事が成立するのであろうか? 世の中にはそういうタイプの作家もいるらしいしもしそういう事ができれば原稿の生産性がだいぶ上がりそうな気がするしそれはとても嬉しい。小説家という仕事の難儀な点は執筆速度が露骨に収入に効いてくることである。会社員が2倍の速度で仕事をしても同僚の仕事が回ってくるだけだし、研究職が2倍の仕事をするとまあ出世はしやすいが給料が2倍になったりしない。しかし小説家が2倍の原稿を書いて2倍の本を出すと本当に印税が2倍になるので困ったものである。僕は去年の7月に「未来職安」を上梓してもうすぐ1年が経つがいまだに新刊の出る気配がない。漫画原作で「オートマン」をやってるせいもあるがこちらも僕のせいで頻繁に休載していて作画の中村さんには本当に申し訳ないと思っている。原稿が進まない理由というのはまあそんなに難しい話ではなくて書いている途中に「これはあんまり面白くないのではないか」と思ってしまうからであり、こう小さい画面で書いていればそういう余計なことを考える暇がないので生産性は上がるのではないだろうか? 原稿について時間をかけて考えることを「余計なこと」呼ばわりとは何事か、と思うかもしれないけれど僕の場合はこれは余計なことと言って差し支えない。なにしろ原稿が進まない時って別に原稿について考えているわけじゃなくて「原稿が進まない」ということしか考えてないのだから。さっきの日記で「外出先でないと原稿が書けない」と言ったがこれはそういうノイズを軽減するための手法のひとつである。外のほうが音声的なノイズは多いけど、そのせいでかえって余計なことを考える脳の部位が抑制されるのである。しかしその日その日でちょうどいい抑制が発生する店が異なるので、アタリが出るまであちこち飲食店を渡り歩きながら420円のコーヒー代を払っているのでこれは結構な出費になる(420円という数字でピンとくる人がいるかもしれないがコメダ珈琲であることが多い)。今思ったんだけどこの費用って経費として処理できるんじゃないか?「レシートいりません」と言った回数分の後悔の念が押し寄せてきたがとにかくそういうことを考えている場合ではないのである。うまいこと自宅で作業する環境を構築できればコーヒー代もスーパーで買ってくる10パック300円くらいのやつで済むし iMac もある。つまり「外出先で得られるような感じ」を自宅で再現すればいいのである。どうするか? YouTube でカフェの音声みたいなのがあるので流してみたけどなんか違う。ただ音が鳴っているだけでは足りないらしい。なんだろう。風景? 空気感とか? VR とかで原稿書いてみたら何か変わるんだろうか。そういえば最近 Oculus Quest とかいうのが発売されていたな。Quest って英単語をドラクエおよびそのパロディ以外で聞くの初めてな気がする。あと Twitter も一応ふつうの英単語だったらしいけど一般名詞として使われてるのを見たことないな。あ、ちなみに Python (ニシキヘビ)は生物の論文で見たことあります。そんな話をしている場合ではないという気がしたが別に今はどんな話をしている場合でもないのである。

何もしてないのにパソコンが壊れた

誰かを楽しませるために書かれたフィクションと違って、現実世界の物事は意味もなければ伏線もない。罪があっても報いはなく、銃があっても発射されない。「この戦争が終わったら結婚するんだ」と言ってたやつが本当に結婚したりするし、何もしてないのにパソコンが壊れたりする。これは結構困る。なぜなら僕は原稿を書かなければならないからだ。3年使っている MacBook が起動しなくなってしまった。自宅には据え置きの iMac があるので日常の生活にはそれほど困らないのだが、僕はいわゆる外出先でないと原稿が書けないタイプなので、持ち歩きのできる機械がないと仕事ができなくなってしまう。仕事ができないのに「日常の生活にはそれほど困らない」というのは僕にとって仕事は非日常だからであるがその話は本題とは関係ない。とにかく MacBook は修理に出すとして、それまで何で原稿を書けばいいのかという話である。調べてみると欧米には iMac を持ち歩いてスタバで作業をする人間もいるらしい。公式サイトによると27型 iMac の重量は9.42kgとある。冬山登山をするときはそれ以上重いザックをかついで何時間も坂を登るわけだから、そのくらい出来ない道理はない。しかし問題は電源である。ご存知のとおり据え置きのPCというものはバッテリーを備えていない。備えていればUPS代わりになると思うのだが、価格の上昇のほうが気になるのだろう。つまり外出先で電源を確保しなければならずこれが面倒だ。冬山登山のごとき荷物を抱えて近所のスタバに入ってコンセントがないから撤退して辛酸をなめるのはなるべく避けたい。「辛酸をなめる」というのはスタバ的ではない。そもそもたかだか原稿を書く作業に macOS は必要ないのである。キーボードと画面とそれなりの日本語入力機能ついておれば宜しい。となれば手持ちのスマートフョーンかタブレットBluetooth キーボードをつければよい。さっそく家の蔵(押入の比喩的表現)からロジクールの key-to-go キーボードを引っ張り出す。ロジクールって英語綴りが logi なのにローマ字入力が rozi で全然違うのでカタカナ入力するたびに憤死しそうになる。とにかくキーボードである。表面がゴムだかウレタンだかのカバーで被われているので直接かばんに突っ込めるのは大変ありがたいが、薬箱とおなじ箱に入れっぱなしにしておいたせいで全体的に正露丸の臭いがする。締切前で胃が痛むときに多少の効果がありそうだ。しかし数年間使っていなかったので当然電池はカラである。micro-USB の端子が見えるので普段 Kindle Paperwhite で使っているケーブルに差し込む。数年前までは全部 micro-USB だったのだが今は USB-C が出てきて不統一でめんどっちい時期である。なにやら iPad Pro が USB-C に移行したらしいが僕が持ってる iPad は旧型なので lightning とかいうファッキン独自規格で出張のたびに持って行くケーブルが1本増える。ちなみにスマートフョーンは Android で USB-C なので MacBook と併用できるのだが、だいたい宿泊先で両方いっぺんに充電するので結局ケーブルは2本必要である。しかし片方のケーブルが突如断線しても保険が効くという安心感はやはり大きい。そうこうしているうちにキーボードの充電が終わる。電源を入れてみるが Bluetooth 端末として認識してくれない。ネットの説明書を調べるとBluetoothボタンを長押ししろとある。した。接続できた。やった。さっそく iPadAndroid で色々と打ち試してみたが、iOS は漢字変換ではなく予測変換であるというのがいまいち具合がよくない(僕は予測不可能な言語ばかり書く)。昔買った ATOK の入っている Android のほうがいくらか具合がいいようなので暫定的にこちらを使うことにする。いずれにせよ慣れないキーボードで仕事の原稿を書くためにはそれなりの準備体操が必要であり、頭を使わずに適当な長文(日本語と英数が混じったテキストが望ましい)をタイピングすることにする。それがこの日記である。わざわざ最後まで読む人がいるとは思わなかった。

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Unity 完全理解した

 

 

 

日曜日の朝に Kindle石黒正数の漫画を読んでいたら急にゲームを作りたくなったので Unity をダウンロードして作ってみた(ゲームの内容とは特に関係ないが石黒正数は最高である)。

作りたかったのは PC-98 時代の名作ゲーム「蟹味噌」みたいな単純なアクションゲーム。Unity のチュートリアルで玉転がしゲームがあるので、とりあえずこれを読んで基本操作を学習する。した。

 

unity3d.com

このチュートリアルは矢印キーを押すことでXZ方向の加速度が発生するだけの簡単な操作だが、これだけだと平面的で面白くないのでジャンプを追加する。床との接触判定がある時にスペースキーを押すとY方向の速度が発生する(ここは瞬発的な力であるため加速度ではなく速度)。あとジャンプの際に平面速度を半分にする。つまりジャンプがブレーキの代わりになる。マリオで氷の床が滑るときにジャンプで止まるのと同じ原理。

次に敵機の赤玉を作る。これは単純に青玉に向かってくるだけで、力のベクトルは自機-敵機間のベクトルの定数倍である。つまり遠くにいる程加速する。ただしベクトルの向きが乱数で±30度の範囲でブレる。各瞬間で別々の向きにブレるので平均化するとそこまでブレない。

あとは落ちた球体が消える処理だけ作れば完成。1日で出来た。WebGL でビルドしてPCブラウザで動かせるようにする。(キーボードがあればモバイルブラウザでも一応動くらしい)

「蟹湯葉https://yubais.net/game/KaniYuba/

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この時点での不満点

  • 自機・敵機ともに制動力が弱いので、操作性が非常に悪く、敵をぶつけて落とすよりも敵を自滅させるゲームになってる。
  • 残機やタイムなどの機能がない。
  • PCブラウザでしか遊べないので昔作った「人を馬鹿にしたブロック崩し」のようにバズらせて広告収入を得ることができない。

とりあえず残機については static 変数を使えばシーンをまたいだ変数が実装できるらしいので作る。残機の表示には UI Text を使う。このへんは JavaScript で DOM を操作するのと似たようなノリだ。GUI はひとつわかれば全部わかる。

操作性の問題については「加速力と減速力と空中加速力を別々にする」とか「進行方向ベクトルと入力方向ベクトルの内積をもとに加速度を設定する」とか色々やったんだが結局調整すべきパラメータが多すぎて脳が破綻した。

最終的に自機は「矢印を押したら加速」「地上でも空中でも同じ」「ただし常に速度が数%ずつ減る」という単純きわまりない設定にしたら何かいい感じになってしまった。何事も単純が正義。各ボールには質量・加速度・減速率の3つのパラメータが設定されている。

敵機の追従は「距離に比例」はさすがに非物理的なので止めて、加速度の絶対値はボールごとに一定にする。±30度のブレはそのまま。

「蟹湯葉2」https://yubais.net/game/KaniYuba2/

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ここで新たな問題が浮上。「床に接触しているときはジャンプできる」という設定にしたが、床の上ではなく床の側面でもジャンプできてしまう。しかしこれは緊急回避的なギミックとして面白いのでそのまま残す。

次に、縦と横の加速度と摩擦を独立に設定しているので、斜めの加速が縦横よりも√2倍速くなってしまう。このため敵機には斜めからぶつかって落とすべしという物理法則の等方性を無視した結果になってしまった。不満だが「単純が正義」と言ったばかりなので引っ込めるわけにもいかず放置。

あとはモバイルで遊べない点だが、Unity 自体は iOSAndroid 向けのバイナリを出力してくれるが公開手順がめんどいし、かといってブラウザ向けの WebGL 出力は現時点でモバイルブラウザに対応していないらしい(したとしても重すぎる)ので一旦諦める。ブラウザで気軽に遊べるミニゲームを作りたいなら Unity のようなシッカリしたエンジンよりも PlayCanvas とかそれ用のを使う方がいいのだろうか?

playcanvas.jp

とりあえず Unity の操作を覚えたので将来何か思いついた時にサッと取り組むことができるだろう。あとはアイデアが降ってくるまで寝て待つ(本業に戻る)。

 

※タイトルの「完全理解した」は「チュートリアルを完了した」を意味する界隈の隠語。